Essentia式-女性支援専門家のための長期講座-第2部その1

テキスト

ダウンロードはこちら

ワークシート

ダウンロードはこちら

シェア

 

はじめに

この動画の文字起こしを読む

季節は大事だと言いますよね。特に漢方を学んでいると、季節の養生法は必ず出てきます。

ただ、季節の養生には少し落とし穴があります。

真面目に「自分の体を何とかしたい」「体調を良くしたい」と思う方ほど、さまざまな方法を試し、学びを重ね、季節の養生にたどり着くことがあります。

そのとき、改めて「養生とは何だろう?」と自分に問いかけてみてほしいのです。

養生とは、言葉の通り、命を生かし、養うことです。ところが、季節の養生を一生懸命に学ぶほど、体ではなく頭をがちがちにしてしまう場合があります。

これは、季節の養生が日常に気軽に取り入れやすいものだからこそ起こりやすいのかもしれません。

私自身、カウンセリングをしていた頃、特に昔はよく、

「春が来るから、このように過ごしていきましょう」
「春だから、緑のものを食べておきましょう」

といった提案をしていました。

もちろん、これらは間違いではありません。最初は新しい知識として楽しく取り入れられることも多いです。

けれども、そこでつまずく方もいます。

つまずく理由は、自分の体を見ていないことにあります。

カウンセリングの基本でお伝えしてきたように、主語はお客様です。

季節のリズムであっても、女性のリズムであっても、「春はこう」「夏はこう」「女性の体はこう」と、一般論が主語になった時点で少しずれ始めます。

たとえば、夏の理想的な過ごし方を知っておくことは大切です。「夏にはこういうリズムがある」と理解しておくことも必要です。

ただし、カウンセリングや自己観察で一番大切なのは、それがその人に合うかどうかです。

夏の理想的な暮らしのリズムと、今そのお客様が営んでいる暮らしのリズム。その両者を、どのように無理なく重ねていけるかが大切です。

「夏はこう過ごしましょう。だから、こうしてください」と伝えるだけでは、実行できなかったときに、お客様は「できなかった」と感じます。

さらに不調が出たタイミングと重なると、

「私は理想的な暮らしができなかったから、こうなったんだ」

と結論づけてしまうことがあります。

この感覚が繰り返されると、カウンセリングの最初にお客様が、

「今月は全然できなかったんです」

と話されることがあります。

「何ができなかったのですか?」と聞くと、教科書に書かれた理想的な生活や、健康法として正解とされている習慣を実行できなかった、という意味であることが少なくありません。

その結果、カウンセリングの時間が「反省会」になってしまいます。

1か月のうちに何ができなかったのか。何が原因なのか。なぜ今この不調が現れたのか。そこを探ること自体はもちろん大切です。

しかし本来、1か月を振り返れば、できていたこと、体調が良かった瞬間、心地よく過ごせた日など、さまざまな出来事があったはずです。

それにもかかわらず、「できなかったこと」ばかりに焦点が当たってしまうことがあります。

初回から2回目くらいまでは、「では次はこうできるようにしましょう」「この部分を改善してみましょう」と進められるかもしれません。お客様も意欲的なので、「やってみます」と取り組まれます。

ただ、継続していくうちに、カウンセラーもお客様も息切れしてしまうことがあります。

カウンセラー側は、「次に改善できることを出さなければ」「もっと良い方法を提案しなければ」と考え始めます。私も処方をしていた立場だったので、「次は何を出したらいいのだろう」と考えてしまったことがありました。

お客様側も、毎回新しいことが加わることで、

「次は何をしなければいけないのだろう」
「何を足さなければいけないのだろう」

という状態になっていきます。

だからこそ大切なのは、お客様の生活環境と季節のリズムとの間に、どのような折り合いをつけられるかを一緒に探すことです。

そうしないと、季節のリズムはその人を支える視点ではなく、ただのノウハウになってしまいます。

季節のリズムが身近なものであるからこそ、「できなかった」というサイクルにも入りやすいのです。

季節のリズム講座を受講してくださっている方には、今日の内容は重複して聞こえる部分もあるかもしれません。でも、「やはりここが大事なのだ」と、もう一度受け取っていただけたらと思います。

第1部では、女性の体の中で何が起きているのかを、ミクロの視点で見てきました。

しかし、実際にカウンセリングをしていると、生理周期や女性ホルモン、ホルモンバランスだけでは説明しきれない場面が必ず出てきます。

よく見ていくと、

  • 最近、仕事が忙しくなっている
  • 起きる時間がばらばらになっている
  • 夏になって食欲が落ちている
  • 生活環境の変化によって、体のリズムも変わっている

といったことが関係している場合もあります。

振り返る順番として、最初に忘れないでほしいのは、まずフラットに自分の体を見ることです。

次に暮らしのリズムを見ます。その後に生活環境を見ます。そして、生理周期、季節、月のリズム、暦と、少しずつ見る枠を広げていきます。

今回、季節という大きな視点で見ていくからこそ、最後は必ず暮らしに戻ることを忘れないでください。

暮らしに戻るということは、そのお客様の体のサインに戻るということです。

そのことを念頭に置きながら、第2部を聞いていただけたらと思います。

 

なぜ季節を観察するのか

この動画の文字起こしを読む

では、そもそもの話なのですが、なぜ季節を観察することが大事なのでしょうか。

東洋医学を学んでいると、「私たちは自然の一部です」「自然と一致している存在です」という言葉は、耳にたこができるほど聞くと思います。

でも、「なぜそう言われるのだろう」と考えたことはありますか?

私自身、感覚派のようでいて、実はかなり頭で考えるタイプです。だからこそ、感覚だけではなく、「なぜ季節を見ることがそんなに大事なのか」を知りたくなりました。

少し勉強してみて、自分の中で腑に落ちたことがあります。今日は、その流れをお伝えしたいと思います。

なぜ季節を見るのか

まず、なぜ季節を見るのか、少し復習してみましょう。

皆さんには叶えたい夢や、やりたいことがあると思います。夢といっても、壮大な目標だけではありません。日常を営むことも、その一つです。

この講座のテーマは、「心も体も健康に、夢を叶えること」です。

体だけを健康にすることでもなく、体を犠牲にして夢を叶えることでもありません。心と体の健康、そして夢を叶えることは、すべて循環しています。

どちらか一方だけを取ろうとすると、どこかで行き詰まります。

けれども、夢を叶えたいと思ったとき、特に頑張り屋さんの女性ほど、

「どうしたらもっと頑張れるだろう」
「どうしたらもっと早く前に進めるだろう」

と考えやすいのではないでしょうか。

特に、放っておいても頑張れる人、人よりも200%のアクセルを踏める人ほど、自然界を見てみてほしいのです。

自然界には、一年中ずっと爆発的なスピードで成長し続けるものはありません。

私たちの体にも、五臓があります。そして五臓の大元には、五行の考え方があります。

つまり、私たちの体の中には季節がある、ということです。

私たちの体の中に季節があるということは、私たち自身も変化していくということです。

日本に生まれたことは、私にとって本当にラッキーなことだと思っています。日本には四季があり、その季節の間にも繊細なグラデーションやコントラストがあります。

そして私たちの体の中にも、四季の営みの流れやリズム、コントラストがあります。

季節には、それぞれ役割、特徴、個性があります。

季節の恩恵に目を向ける

女性は、男性に比べると陰の性質を持ちやすい存在です。体の構造を見ても、体の内側で命を育む力をもともと持っています。

命をつくること、育むこと、育てること。女性は、内側で何かを育てる力を持っています。

目に見える変化を外側に向かって爆発的に起こすというよりも、見えないところでさまざまなものを育む性質を持っている、とイメージしてみてください。

だからこそ、女性は陰の側面を見やすい傾向があります。

そこで私は、季節のリズムについてお伝えするときに、あえて「恩恵に目を向けてください」とお話ししています。

季節には役割があり、特徴があり、個性があります。そして必ず恩恵があります。

私たちは自然の一部です。体の中には季節があり、それは五行のつながりからも見ることができます。

だからこそ、その季節のリズムをうまく使えれば、それは追い風になります。

これは私自身が体感してきたことです。

私は、季節の養生法や東洋医学的な過ごし方の知識を持っていました。でも、会社員だった頃は、それを自分自身に活かせていませんでした。

「季節に合わせて、人並みに正しく過ごさなければいけない」という頭でっかちな考え方だけで過ごしていたら、何もできなくなり、「私は季節の養生すらできないから、人に伝える資格なんてない」と思い込んでいたかもしれません。

その経験も、今となっては良かったと思っています。

自然の一部であることを活かし、季節の流れを使うことができると、今はアクセルを踏む時期なのか、種をまく時期なのか、あるいは育ててきたものを見て収穫する時期なのかが見えてきます。

収穫したものを見ながら、「来年はどんな種をまこうかな」と考える時期もあります。

立ち止まる時期は、一見すると何も進んでいないように感じるかもしれません。

けれども、たとえば冬は、すべてが静止しているように見える季節です。

夏は、何かが発展し、繁栄していく季節です。その対極にある冬は、何も育っていないのでしょうか。

そんなことはありません。

冬があるからこそ、春に芽が出ます。

これは陰陽の考え方にもつながります。

その人にある春のリズム

以前、お客様がこんなことを話してくださいました。

「春は芽吹きの季節で、活動したり動いたりすることが大事だと習いました。でも今の私は、動くよりも自分の内側を見つめ、静かに過ごしたいんです。自分がこれからどう生きていきたいのか、人生のことを考える時間にしたいんです」

29歳のお客様でしたが、すごいことを言うなと思いました。

もちろん、「お客様がそう思うなら、それでいいのではないですか」ということがまず前提にあります。

そして陰陽のリズムで考えても、それは決して間違っていません。

知識だけで見ると、春は芽吹き、成長、上昇、伸びることなど、陽のリズムにある季節です。

だから、「春は外に向かって動かなければいけない」と思いやすいかもしれません。

でも、陰陽はとても面白いものです。

そのお客様が言っていた、「自分の内側を見つめたい」「自分の中にあるものを育てたい」「自分がどう思っているのかを知りたい」ということは、一見すると冬のリズムのようにも見えます。

けれども、木にたとえるなら、春は枝葉や花が伸びるだけではありません。根を育てることも、春の営みの一つです。

そのお客様にとっての陽のリズムは、どこにあるのでしょうか。

外から見てわかる現実的な変化を起こすことだけが、陽のリズムではないかもしれません。

内側で何かを育むこと、自分が本当にしたかったことに気づくこと、自分の感情の花を咲かせることも、その人にとっては春のリズムであり、陽の開花なのです。

カウンセリングでは、その人にとっての季節のリズムがどこにあるのかを探していくことが大切になります。

一つのリズムを知ることは、とても奥深いことです。

季節を見るときも、それ以外のことを見るときも、すべてに陰と陽の視点があります。

そして、どの季節にも必ず恩恵があります。

女性は陰の側面に目が向きやすいからこそ、意識的に恩恵や陽の側面を見ていくことが大切です。

たとえば夏は、暑くて、しんどくて、長くて、嫌だなと思うこともあります。

でも、「暑くてつらい」「もう嫌だな」という気持ちを感じたうえで、「この夏のリズムから、私はどんな恩恵を受け取っているのだろう」と考えてみる。

この視点は、そのままカウンセリングにも活かされます。

陰陽の視点を日常に使う

そのときに使うのが、陰陽論の四つの法則です。

陰陽の対立、互根、消長、転化。

これらは知識として覚えるだけでなく、日常生活の中で観察してみてください。

陰陽の対立とは、暮らしの中ではどのようなことなのか。
陰陽の互根とは、体の中ではどのようなことなのか。
消長や転化は、日常のどのような場面で起きているのか。

こうした視点は、すべて季節を見ることにもつながっていきます。

季節の養生とは

では、季節の養生とは何でしょうか。

もしお客様から「季節の養生って何ですか?」と聞かれたら、皆さんはどう答えますか。

講座で話すときや、ご家族に伝えるときもあるかもしれません。

「季節の養生って、何?」

そう聞かれたときに、私は「季節を感じることだよ」と答えています。

もちろん、「季節の恩恵を受け取り、体に合った過ごし方をすること」という表現も、とても素晴らしいと思います。

ただ、季節の養生を難しく考えすぎる必要はありません。

「今、夏だな」
「やっと夏らしくなったな」

そう感じることも、季節の養生です。

季節に合った過ごし方をすること、体調よく過ごすこと、と考える方も多いと思います。

でも、「体調よく過ごせたら養生ができた」「不調になったら養生ができていない」という考え方になると、少し苦しくなってしまいます。

特に女性の体には、揺らぎがあります。

養生は、不調を一切起こさないためのものではありません。

養生とは、その人がその人らしく命を養うためのものです。

季節を道しるべにして、自分の命の養い方を知っていく。それが季節の養生法です。

ここは皆さん自身も、しっくりくる言葉を見つけておくとよいと思います。

苦手な季節から読み解く

苦手な季節がある方もいらっしゃると思います。

「夏が苦手です」
「冬になると調子を崩します」

こうした言葉が出てきたら、カウンセラーとしては注目してほしいポイントです。

なぜなら、そこには伸びしろがあるからです。

これは、苦手なことを無理に克服しようという意味ではありません。

たとえば、「夏が苦手」と言っても、理由は人によってさまざまです。

多いのは、血や潤いが不足しているケースです。

血や潤いが不足していると、夏の強い陽のエネルギーの影響を受けやすくなります。

乾いたものは火が通りやすいですよね。それと同じように、血や潤いが不足していると、熱の影響を受けて消耗しやすくなります。

自分の陰が不足しているときに、夏の陽のエネルギーが強く入ってくると、陰陽のバランスが崩れやすくなります。

だから、お客様が「夏が苦手です」と言ったときは、まず、

「夏のどんなところが苦手だと感じますか?」

と、オープンクエスチョンで聞いてみます。

その答えを聞きながら、「ということは、この方にはどのような背景があるのだろう」と見ていきます。

お客様は苦手な季節をつらさとして話されるかもしれません。

でもカウンセラーは、その話の中から「ということは?」を見つけていくのです。

一年をかけて自分を観察する

体調を記録する手帳も、季節のリズムを土台にしています。

これは、万人が使えるという意味もありますが、1年をかけて季節のリズムを感じていくこと自体に大きな意味があります。

不調を早く何とかしなければ、という視点をいったん外すこと。

そして、季節の流れを感じながら自分を観察すること。

春夏秋冬の変化によって、自分の体調がどう変わるのか。暮らしがどう変わるのか。

それを1年かけて見ていくことで、「自分も自然と一緒に動いているんだ」と体感できます。

私自身、知識はある方だったと思います。好きだったので、たくさん学んでいました。

でも、それを自分自身に使ったことがありませんでした。

当時は生理がなかったため、自分の女性のリズムがわからないと思っていました。

けれども、「女性のリズムはわからなくても、季節のリズムはある」と思い、まず季節を感じることから始めました。

観察していくうちに、自分の体にもリズムがあり、自然のリズムと調和していることがわかりました。

だから私は、生理があるかどうか、更年期に入っているかどうかにかかわらず、女性のリズムは必ずあると言い切れます。

リズムがないのではありません。

知らなかっただけ、見ようとしていなかっただけです。

「ない」と思えば見えません。

でも、「あるのかもしれない」と思って知ろうとすれば、必ず見えてきます。

不調ではなく、リズムかもしれない

そして私自身、季節のリズムを知識だけで捉えていた頃は、あらゆる不調を治そうとしていました。

春になると少し気持ちがざわざわする。
なんとなく落ち着かない。
元気ではない。

そういった、いわゆる「絶好調」以外の状態を、すべて何とかしなければいけないものとして捉えていたのです。

もちろん、元気に過ごしてほしいという思いがあったからです。

でも、季節のリズムを知るだけでなく、自分で体感して「自分の体にはリズムがある」とわかったとき、私はとても救われました。

「あれは不調ではなく、ただのリズムだったんだ」

そう思えたのです。

自分は季節のリズムに乗っているだけだったのかもしれない。

そう感じられたとき、「治さなければいけないもの」が減っていきました。

治すべきものが減ると、自然な状態や健康な状態として受け取れる範囲が広がっていきます。

すると、「意外と私は健康だったのかもしれない」と思えるようになります。

不調は、見ようと思えばどこまでも追求できます。

でも、幸せと不調、健康は、必ずしもイコールではありません。

どのような体の状態であっても、私たちは幸せになる選択をすることができます。

同じように、「自分には季節のリズムがある」「自分の体にはリズムがある」と思えることによって、私たちはいつからでも健康に向かうことができます。

ずっと不調を見続けてしまう方も、ときにはいらっしゃいます。

それは他人に対してだけではなく、自分自身に対しても起こることです。

でも、勇気を出して自分の状態をフラットに見て、事実を受け取っていくと、「私は健康だったんだ」と気づく瞬間が来ます。

細かな不調や揺らぎがあったとしても、私たちはいつからでも健康に向かうことができます。

私自身、季節のリズムを知ることで、そのことを体感しました。

だから私は、女性のリズムを学ぶ前にも、季節のリズムを知ることが大切だとお伝えしています。

「不調だと思っていたものは、ただのリズムだったのかもしれない」

そう思えることが、いつからでも健康に向かう力になるのです。

 

季節の変化と身体のリズムの関係

この動画の文字起こしを読む

では、季節の変化と体のリズムには、どのような関係があるのでしょうか。

「私たちは自然の一部です」
「季節に合わせて生きましょう」
「自然と調和しましょう」

こういった言葉は、東洋医学を学んでいると何度も耳にすると思います。

でも、「自然と調和する」とは具体的にどういうことなのでしょうか。感覚的な話だけではなく、私たちの体は実際に自然環境から絶えず情報を受け取り、その情報に合わせて動いています。

今日は、その中でも特に「光」に焦点を当ててお話しします。

光と体内時計

私たちには、体内時計があります。これはサーカディアンリズムとも呼ばれ、睡眠と覚醒、ホルモンの分泌、体温、自律神経など、体のさまざまな動きを約24時間の周期で調節しているリズムです。

そして、この体内時計を調節する大きなポイントの一つが、光です。

朝、光が入ってきますよね。電気の光でもよいですが、東洋医学的なリズムでいうと、特に朝日の光です。

朝に光が目から入ると、その情報は脳に伝わります。正確には、脳の視交叉上核という部分に伝わります。

視交叉上核は、体内時計の司令塔のような場所です。

光の情報が入ると、視交叉上核は「朝が来た」と判断します。そして、その情報を全身に伝えます。

朝が来た。
昼になった。
暗くなってきた。
夜になった。

このような外の環境の変化を受け取って、私たちの体は体内のリズムを調節しています。

朝日を浴びると、体内時計がリセットされます。そして、朝になったという信号が自律神経やホルモンに伝わり、体は活動モードへ入っていきます。

その後、夜になると眠りやすくなるためのホルモン分泌へとつながっていきます。

東洋医学で「朝日を浴びましょう」と言われることが多いのは、こうした理由もあるからです。

東洋医学は、昔の人たちが自然界を観察しながら積み重ねてきた経験則です。そして現代医学や生理学は、その経験則を別の角度から検証し、答え合わせをしているようにも感じます。

だからこそ、両者が重なる部分があります。

朝日を浴びることで体内時計が整い、「朝だよ」という情報が自律神経やホルモンを通して全身に伝わる。この仕組みを知っておくと、季節を見る意味がより具体的にわかります。

季節で変わる光の情報

ここで、季節の話に戻ります。

季節が変わると、何が変わるでしょうか。

まず、日照時間が変わります。

私たちが毎日浴びている光は、実は毎日同じではありません。夏と冬では、日が出る時間も、日が沈む時間も違います。

ぜひ、ご自身が住んでいる地域の夏と冬の日照時間の差を調べてみてください。

札幌と東京、東京と福岡など、住む地域によっても日照時間は大きく異なります。

これは「身土不二」という考え方にもつながります。自分が住んでいる土地の環境と調和して生きることは、とても大切です。

日照時間が変わるということは、体が受け取る光の情報が変わるということです。

光の強さも変わります。朝日が昇る時間も変わります。すると当然、私たちの体のリズムも変わります。

季節が変わると、体が受け取る情報が変わります。

その結果、起きるためのホルモン、眠るためのホルモン、自律神経の働きなど、体のさまざまな動きが変化していきます。

生活環境と生活リズム

そして、季節によって変わるのは、光による体のリズムだけではありません。

季節が変わると、私たちを取り巻く生活環境も変わります。

だから、季節のリズムを見るときに生活環境を見ることが大切なのです。

たとえば、冬と夏で暮らし方は同じでしょうか。

冬より春のほうが外出の機会が増える方もいるかもしれません。住む地域によっては、雪の影響で冬は行動範囲が狭くなることもあります。

季節の変化に連動して、暮らし方も変わります。

生活環境が変わると、次に変わるのは生活リズムです。

起きる時間、寝る時間、食べる時間、外出する時間、活動量などが変わります。

たとえば、夏休みがある家庭では、子どもの生活リズムの変化によって、家族全体の食事や睡眠の時間が大きく変わることがあります。

冬に家族の誕生日が集中している家庭と、夏にイベントが多い家庭でも、食事や外出のリズムは変わるかもしれません。

また、新しい仕事や習い事を始めたときも、同じ季節の中であっても生活環境が変わり、生活リズムは変化します。

生活環境は、生活リズムに非常に大きく関係しています。

だからカウンセリングでは、生活リズムを聞くだけでなく、その背景にある生活環境も伺うことが大切です。

背景を見て、その人に合う提案をする

たとえば、お客様が「夕食を食べるのは21時です」と話されたとします。

そこで、「21時に食べるのはよくないですね」と考えるのではなく、なぜ21時になっているのか、その生活環境を見ます。

仕事が忙しいのか。
子どもの予定があるのか。
最近だけそうなっているのか。
季節や時期による変化があるのか。

生活環境を理解することで、その人に合った生活リズムへの落とし込み方や、無理のない折り合いのつけ方が見えてきます。

たとえば、新年度で子どもの予定が増え、新しいことも始まり、とても忙しい方に対して、「毎日3食をきちんと手作りしましょう」と伝えることは、現実的ではない場合もあります。

まずは、その人がどのような暮らしのリズムを営んでいるのかを知る必要があります。

何時に起きているのか。
何時に寝ているのか。
いつ食事をしているのか。
そのリズムは、どのような生活環境から生まれているのか。

そこを理解して初めて、その人に合った提案ができます。

季節が体に及ぼす二つの側面

ここで、もう一度整理します。

季節が変わると、生活環境が変わります。
生活環境が変わると、生活リズムが変わります。
生活リズムが変わると、体が受け取る刺激やストレス、情報が変わります。

体が受け取る情報が変わるということは、脳が受け取る信号も変わるということです。

脳が受け取る信号が変われば、体が出すサインも変わります。

季節による体の変化には、大きく二つの側面があります。

  1. 日照時間や光の変化によって、体内時計、自律神経、ホルモンなどが調節されることです。
  2. 季節の変化によって生活環境や生活リズムが変わり、体が受け取る刺激や情報が変わることです。

この二つの側面から、私たちの体は季節の影響を受けています。

東洋医学的に見ると、季節が変われば自然界の陰陽バランスが変わります。

私たちは自然界とつながっている存在なので、自然界の陰陽が変われば、私たちの体の陰陽バランスも連動して変化していきます。

季節の変化を、もっとシンプルに捉えるなら、日照時間の変化です。

日照時間が変わると、気温も変わります。
太陽の高度が変わると、暑さや寒さも変わります。

気温や光、太陽の変化は、自律神経の働きにも影響します。

自律神経の働きが変わると、その影響はホルモンバランスにもつながります。

このように、季節が変わると、体の中ではさまざまな変化が連鎖して起こります。

太陽の光と覚醒のスイッチ

私は、季節のリズムや月のリズムを大切にしています。

女性は陰のリズムを持つため、月の満ち欠けのリズムとも関係があります。

ただ、少し原点に戻ると、やはり太陽の存在がとても大切です。

日の光は、私たちの陰陽バランスに大きく関わっています。

ここで、「では、スマートフォンの光はどうなのだろう」と思う方もいるかもしれません。

朝、朝日を浴びると、体は「朝が来た」と判断します。

自律神経では交感神経が優位になり、活動モードへと入ります。陰陽でいえば、陽のスイッチが入る状態です。

交感神経が働くと、血管を収縮させ、心拍数を上げ、血圧を上げ、血液を全身へ巡らせます。

頭にも血液が巡り、覚醒していきます。

これを夜に行ったら、どうなるでしょうか。

夜に強い光を浴び、体が朝と同じように覚醒モードへ入ってしまうと、眠りに向かうリズムが乱れやすくなります。

それほど私たちは、光の影響を強く受けています。

季節と体のサインを受け取る

まとめると、季節の変化によって日照時間が変わり、体のリズムが変わります。

さらに、季節の変化によって生活環境と生活リズムが変わり、体が受け取る刺激や情報が変わります。

自然界の陰陽バランスが変わることで、私たちの体の陰陽バランスも変わります。

そして、それに伴って体が出すサインも変わっていきます。

どのような視点で見ても、私たちは自然界とつながっています。

これが、季節のリズムを見る上で大切な土台です。

季節の養生は、春夏秋冬の過ごし方を知識として覚えることだけではありません。

体が季節に応じてどのように動いているのかを知ること。

そして、季節の変化によって暮らしのリズムがどう変わり、その人の体がどのようなサインを出しているのかを見ていくことです。

体は、光、太陽、気温などの情報を常に受け取っています。

「今はこの強さの光が、この時間に入ってきている」
「今はこの気温で、この環境にいる」

そうした情報を体は自動的に受け取り、ホルモンや自律神経などを調節しています。

体は、完璧に動いています。
そして、完璧なサインを出しています。

ただし、季節のリズムと暮らしのリズムにずれがあるとき、体は「少し調節したほうがいいかもしれない」とサインを出します。

そのサインを受け取ることが、季節と体のリズムを見ていくことなのです。

 

季節の変化と女性の身体の関係

この動画の文字起こしを読む

では、女性の体はどうでしょうか。

これも、これまでお話ししてきたことと同じ流れです。

第1部で、女性のホルモンの流れとして、視床下部、下垂体、卵巣のつながりについてお話ししました。

視床下部から指令が出て、下垂体を通じ、卵巣へと伝わります。そして、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの分泌へとつながっていきます。

女性ホルモンと季節の情報

女性の月経周期に関わるHPO軸、つまり視床下部・下垂体・卵巣の連携のスタート地点は、脳にある視床下部です。

視床下部は、体の情報を受け取って調節する司令塔であると同時に、外側の環境からの情報も受け取り、体全体を調節している場所です。

女性ホルモンを出すための指令を出しているのも、視床下部です。

そして、季節が変わり、光の変化を感じ取り、「今は夏のリズムに合わせて体を整えよう」と指令を出しているのも、同じく視床下部です。

つまり、女性ホルモンに関する指令を出しているところと、外側の季節や光の情報を受け取って体を調節しているところは、同じなのです。

だから、季節は女性のリズムに影響を与えます。

同じ話を繰り返しているように感じるかもしれませんが、それほど大切なことです。

視床下部が関わる先には、ホルモンがあります。

視床下部から下垂体へつながり、女性ホルモンの流れに関わることもあります。また、副腎へつながり、コルチゾールなどのホルモンに関わることもあります。

けれども、さらに大元をたどると、「光を感じること」が大切なポイントになります。

光を感じ、季節の変化を受け取り、それに合わせて体のリズムを刻むように働きかけているところと、女性ホルモンに関する指令を出しているところは、同じ視床下部です。

土台にある暮らしのリズム

この体の仕組みを理解すると、たとえば、

「月経不順をどうにかしたい」
「妊娠したい」
「更年期の不調がある」
「ホルモンバランスを整えたい」
「排卵を起こしたい」

といった悩みが出たときに、女性ホルモンや排卵だけに目を向けるのではなく、一度立ち止まって考えることができます。

土台にあるのは、暮らしのリズムです。

月経や女性ホルモンのリズムだけが、体の中で独立して動いているわけではありません。

ホルモンは、体全体のリズム、そして暮らしの営みの中にある一部分にすぎません。

これはぜひ知っておいてほしいことです。

月経不順や無月経についても、特別な方法があるわけではありません。

「無月経を治す方法はこれです」というものではなく、どのような不調であっても、基本にあるのは暮らしです。

暮らし、暮らし、暮らしです。

ただし、「一般的に正しい暮らし」に合わせて整えましょう、ということではありません。

その人が一番自然体で過ごせる暮らしのリズムにしていくことが大切です。

なぜなら、治療や調整の先には、必ず日常があるからです。

もちろん、「この症状を良くしたい」と思ったときに、ある期間集中して取り組むことも大切です。

でも、体が良くなったあとにも、日常は続いていきます。

そもそも症状を良くしたいのは、日常を笑顔で、心地よく過ごしたいからです。

だからこそ、最初に日常を見ることがとても大切です。

「いつまで続ければいいんですか?」

これは私自身の反省でもあります。

以前、お客様から、

「この生活を、いつまで続ければいいんですか?」

と聞かれたことがありました。

この言葉の意味がわかるでしょうか。

当時の私は、その方の体調に合わせて、理想的だと思う養生法や暮らし方を提案していました。

けれども、その提案の中に、お客様の日常がきちんと含まれていたのかというと、十分ではなかったのだと思います。

お客様にとっては、

「症状が治るまでは、この暮らしを続ける」
「では、症状が治ったあとはどうしたらいいのだろう」

という感覚だったのかもしれません。

その方は、あるとき頭痛が治りました。

でも、頭痛が治ったあとに、「この生活をいつまで続ければいいんですか」と聞かれたのです。

そのとき私は、自分がやってきたことを振り返りました。

お客様が意識しなくても続けられること。
お客様の日常に自然となじむこと。
そして、命を養うこと。

養生とは、自然体であることでもあります。

心地よく、その人らしく過ごせることです。

たとえ一般的には健康的に見える暮らしであっても、そのお客様にとって不自然な暮らしなら、そこには無理が生じます。

だから、「いつまで続ければいいんですか」と言われたとき、私は養生とは何だろうと改めて考え直しました。

やはり大切なのは、日常です。

季節が変わったときに「今」を見る

そして日常の中でも、「今」を見ることが大切です。

体のリズムは、自分の意志だけでつくられているものではありません。

体はとても優秀で、私たちが意識しなくても、光や季節、自然界の変化から情報を受け取り、体のリズムを調節しています。

だからこそ大切なのは、季節が変わったときに、お客様の体や体のサイン、そして暮らしにどのような変化が起きたのかを見ることです。

「季節が変わったから、このように暮らしましょう」

ではなく、

「季節が変わったけれど、このお客様の体はどう変化したのだろう」
「どのようなサインが出ているのだろう」
「暮らしにはどのような変化があったのだろう」

と見ていくことが大切になります。

夏だからホルモンがこう動く。
冬だから月経はこうなりやすい。

こうしたことも、知識として話そうと思えば話せます。

もちろん、予備知識として知っておくことは大切です。

ただ、それだけを追いかけていくと、情報量が多くなりすぎます。そして、実際のカウンセリングにおいては、単なる雑学になってしまうこともあります。

今日お伝えしたいのは、あくまでも「今を見ること」です。

季節が変わったから、ホルモンはこう動くはずだ、と決めつけるのではありません。

今この瞬間に、お客様が置かれている環境と体の状態に合わせて、体がどのように変化しているのかを観察すること。

その癖をつけてほしいのです。

正解ではなく、その人を見る

たとえば、夏の養生や夏の過ごし方を学ぶときも、

「夏だから、このサインが出るはず」

と考えるのではなく、

「夏になって、自分の体はどのようなサインを出しているだろう」
「春と比べて、何が違うだろう」
「冬と比べて、何が変わっているだろう」

と見てみてください。

その観察は、あとから必ず回収していきます。

大切なのは、正解を探すことではありません。

今、そのお客様を見てください。

これが、季節を見ていくうえで最も大切なことだと思います。

 

身体のリズムで暮らす(委ねる・観察)

この動画の文字起こしを読む

では、体のリズムに暮らしを委ねること、そして観察することについてお伝えしたいと思います。

「体とともに私を生きる」という過ごし方を、センティアジャーナルという形にしています。

体のリズムに合わせて暮らすというのは、体が今どのようなサインを出しているのか、その変化を見ていくことです。

自然のリズムと調和できるポイント、無理なく折り合いをつけられるポイントを、お客様と一緒に見つけていくこと。それがカウンセリングの時間になります。

私たちの暮らしには、仕事、家庭、子育てなど、さまざまな生活環境があります。

また、この世に生まれたからこその楽しみもあります。欲求や誘惑も含めて、人間として生きる醍醐味の一つです。

だから、毎日を季節の理想通りに過ごしてもらうことが目的ではありません。

大切なのは、「今この人の体は、この夏のリズムの中で、どのようなリズムを持っているのだろう」と知ることです。

これは絶対に忘れないでほしいと思います。

季節と、その人の生活環境を見る

たとえば夏は、自然界では陽のエネルギーがとても高まる季節です。

けれども、私自身の生活環境で考えてみると、外はとても暑い一方で、生後3か月の赤ちゃんがいるため、室内は冷房がしっかり効いています。

そのため、私にとって今年の夏は、むしろ体が冷えやすい環境です。

このように、お客様が置かれている生活環境を知らないまま、「夏は陽の季節だから、体を冷やすものを取り入れましょう」とだけお伝えすると、だんだんずれていってしまいます。

だからこそ、季節を大切にしている人ほど、その方にとっての生活環境を聞くことが大切です。

そのうえで、季節の流れに乗っていきます。

季節を一年の使い方にする

季節は、夢を叶えるための1年の使い方を教えてくれます。

私にとって春は、準備やスタートの季節です。

ジャーナルにも、1年を通じて自分が感じた季節のリズムを書いておくページをつくっています。

「春にはこういうイメージがある」
「夏にはこういうイメージがある」

それで大丈夫です。それが正解です。

自分が感じたことが大切なのですが、「何でもいいですよ」と言われると、かえって難しいこともありますよね。

カウンセリングでも、「何でも話して大丈夫ですよ」と言われたとき、最初は言葉に詰まってしまうお客様もいます。

そこで、一つの架け橋になるのが、自然界を観察することです。

春には、どのようなイメージがありますか。

花が咲く。
入学式や入社、転勤など、新しいスタートが多い。
人の移動も多い。

こうした一般的なイメージや、その人自身が持っているイメージがあります。

そこから考えると、春は準備やスタートの季節と捉えることができます。

自然界を見ると、夏は春に比べて日差しが強くなり、緑が青々と茂ります。

雲も、もくもくと大きくなっていきます。

そこには、成長、発展、拡大といったイメージがあります。

夏が終わると、秋はすっと静かになっていきます。

青々としていた葉は枯れ、落ち葉となって地面に落ち、やがて土へと還っていきます。

冬になると、自然界はより静かになります。

生き物や虫、動物たちも活動を抑え、眠り、エネルギーを蓄えるように見えます。

このような季節の流れに、私たちの体も重ねていくことができます。

私自身、冬に「やりたいこと」が浮かんだとしても、春まで待つことがあります。

それは、自分の体に聞いたときに、「今は少し無理をしているかもしれない」と感じることがあるからです。

体を見ていく中で、

「やりたい気持ちはあるけれど、今はまだ動く時期ではないのかもしれない」
「今は冬のような時期なのかもしれない」
「では、春に向けて今から準備を始めよう」

と考えられることがあります。

そうすると、ただ我慢するのではなく、春に向けて準備することにワクワクできるようになります。

いつも頑張り続けるリズムになっていると感じる方や、自分はアクセルを全開に踏みやすいと感じる方は、季節を感じてみてください。

季節のリズムの中で、今自分がどの地点にいるのかが見えてきます。

季節を感じることは、陰を育むこと

季節を感じることは、五感を使うことです。

五感を使うことは、内側に意識を向ける時間になります。これは陰を育む時間でもあります。

季節を感じることで陰が育まれ、その陰のエネルギーは、後に陽として現実を動かしていくエネルギーにもなります。

季節の養生は、季節を感じることです。

これが本当にすべてです。

この1年、ぜひ季節を感じてみてください。

春についても、「春はどうだったかな」「どんな季節を感じたかな」「そのとき自分の体はどのようなサインを出していたかな」「生活環境にはどんな変化があったかな」と振り返ってみてください。

季節の養生を学ばなくても、自然界はいつもそこにあります。

自然界を観察することそのものが、陰のエネルギーを育むことにつながります。

陰のエネルギーは、東洋医学的には血とも関係します。陰が育まれると、心身を整え、回復していくリズムにも乗りやすくなります。

お客様に季節の養生をお伝えするときも、「何をしたらよいかわからない」という状態であれば、たとえば一つ、できそうなことを提案することもあります。

ただ、その後には必ず、

「やってみて、どうでしたか」
「どのように感じましたか」

と聞いてみてください。

季節を感じる時間を持ち、その感覚を振り返る。

感じること自体が陰の時間であり、それを言葉にしてアウトプットすることは陽の時間です。

この陰と陽の循環があることで、季節の養生が実践になります。

動くときと、休むとき

夢を叶えることは、1年中頑張り続けることではありません。

体のリズムに身を委ねながら、動くときは動く。休むときは休む。与えるときと受け取るときのリズムを持つ。

そのように、環境や季節のリズムを使っていくことです。

1年の計画を立てるときも、このリズムを繰り返していくことで、ずっと頑張り続けるよりも早く現実が動くことがあります。

すでに体感されている方もいると思いますが、光や季節によって陰陽のバランスが変わること、自分が季節をどのように感じているのかを、もう一度受け取ってみてください。

委ねるとは、観察と選択

ここで大切なポイントがあります。

季節のリズムや自然のリズムを感じること。
そして、自分の体のリズムを感じること。

これは、つまり観察することです。

観察するからこそ、体のリズムに委ねることができます。

夢を叶えることは、1年中頑張り続けることではありません。

季節には陰と陽のリズムがあります。
私たちの体にも陰と陽のリズムがあります。
そして、私たちを取り巻く環境にもリズムがあります。

だから、自然のリズムに委ねていいのです。

ただし、「委ねる」とは、放っておくことでも、何もしないことでもありません。

私たちにとって委ねることは、観察と選択です。

観察とは、体をきちんと見ることです。
暮らしを振り返ることです。
自分に合う環境をつくることです。

この観察があるからこそ、安心して委ねることができます。

何もしないのではありません。

観察していると、その後に必ず気づきが生まれます。

無理に気づこうとしなくても、観察を続けていると、

「あのとき、こうだったからかもしれない」
「今は少し無理をしているかもしれない」

と気づけるようになります。

それは、観察しているからです。

自分を見ることで土台をつくる

そして、観察するということは、自分を見ることです。

自分を見る視点は、内側に向いています。陰陽で考えると、これは陰の視点です。

陰は下へ向かう性質があります。

下へ向かうということは、足元を見ること、土台を見ることでもあります。

自分を見ることを続けると、陰が育まれ、自分の土台ができてきます。

土台があると、自然界の揺らぎに身を委ねても、大きく振り回されすぎることはありません。

自分の軸があるからです。

女性のリズムについても同じです。

安心して揺らげるのは、自分を見る視点を持ち、陰を育み、土台をつくっているからです。

観察を続けていれば、必ず気づくことができます。

それを、季節を通して行っていくのです。

そうすると、「これは不調なのか」「これはリズムなのか」が、感覚としてわかるようになります。

揺らぎを観察し、サインを受け取る

たとえば春になると、そわそわする、気持ちがざわざわするという方がいます。

でも、「毎年、春になるとそう感じているかもしれない」と気づくことがあります。

春は風が吹きやすく、気候も変わりやすい季節です。

今日は冬のように寒いと思ったら、翌日は春らしく暖かい。天候が行ったり来たりします。

体もそれに合わせて、「今日は冬のモード」「今日は春のモード」と調節を繰り返しています。

その調節は脳の指令によって行われ、ホルモンや自律神経も連動して動きます。

春のようなリズムの日もあれば、冬のようなリズムの日もあります。

自律神経が揺らぐと、心も揺らぎやすくなります。

そうした知識を、ただ覚えるのではなく、皆さんには体感として観察してほしいと思います。

「今の揺らぎは、春だからかもしれない」
「体の調節が行われているのかもしれない」

と腑に落ちるなら、それは必ずしも不調ではありません。

ただし、「それにしても揺らぎが大きすぎる」「つらい」と、自分の体や心が訴えていることに気づけたときは、そのサインを不調として丁寧に受け取ります。

そして、「では、どのように折り合いをつけていこうか」と考えていきます。

一年を通して観察する

皆さんには、この1年をかけて、もう一度季節を感じてほしいと思います。

これまで学んできた季節のリズムや知識を土台にしながら、自分の体にどのような変化が起きたのか、どのようなサインが出たのか、そのときどのような暮らしをしていたのかを見てみてください。

今後、症例を扱うときには、「このサインが出たとき、私はこのように問診します」という視点もお伝えしていきます。

皆さん自身の体の観察と、私からお伝えする視点の両方を使いながら、カウンセリング力を磨いていってください。

 

まとめ

この動画の文字起こしを読む

今は夏ですが、大半は過ぎ、少しずつ秋に入ってきています。

皆さんに今、もう少し見てほしいことがあります。

春から夏にかけて、私たちは「わーっと」動いてきましたよね。

特にこの講座は2月からスタートしているので、始まった頃から、皆さんもそれぞれに動き出してきたと思います。

そして今、二十四節気では少しずつ秋へ入ってきています。

秋は、動いてきたことを回収する時期

春から夏にかけて、陽のエネルギーを使って動かしてきたことを、一度回収する時期が秋です。

だから今、一度立ち止まって、回収してみましょう。

「私はこういうことをやってきたな」
「こんなことにも取り組んできたな」
「ここまで進んできたな」

そんなふうに、自分がやってきたことを見てあげてください。

それを自分の中で育む時間が、また陰のエネルギーになっていきます。

そして、この陰のエネルギーが、残暑を乗り越える力になります。

なぜだと思いますか。

陰のエネルギーは、いわばガソリンのようなものだからです。

長夏の時期は、途中で陰のエネルギーを補給していくことが大切です。

夏が過ぎていくと、自然界も少しずつ収束の方向へ向かいます。エネルギーが内側へ向かい始めます。

さきほども、「夏のようなワクワク感とは少し違うけれど、どこか落ち着きがある」とお話がありました。

それも、自然界のリズムの一つかもしれません。

夏のような、外に向かってわきわきと広がるエネルギーではなく、少しずつ収束し、内側へ向かうエネルギーが入ってくる時期です。

その収束し、内側に向かうエネルギーを使って、2月から今までの間に、自分が動かしてきた現実を見てあげてください。

体は本当に、常に最善を尽くして私たちを応援しています。

お客様の体を見るときも、自分の体を見るときも、「どのような変化が起きたかな」という視点で見てほしいと思います。

症例を学ぶための土台

自然界のリズムは、これからのカウンセリングの土台になります。

今回は、「秋はこう」「冬はこう」といった各季節の細かい話や、カウンセリングでどこを見るのかという具体的な部分までは入れませんでした。

その部分は、これから症例を通して丁寧に拾っていきますので、安心してください。

だからこそ、症例で学びを回収していくためにも、もう一度自分自身を見てあげてほしいと思います。

ここまで大丈夫でしょうか。

少し一気に進めてきましたが、ここで少し話を変えます。

5月の課題を季節の視点で振り返る

5月の課題は、皆さん取り組みましたか。

この課題をカウンセリングするとき、皆さんはどの季節を想定していましたか。

課題文には、「4月からこのような症状があって」と書いてありましたよね。

そのため、「4月から5月にかけての相談」と捉えた方が多かったのではないでしょうか。

また、課題を出したのが5月だったので、5月の今の時期を想定してカウンセリングを考えた方も多かったと思います。

ここで、少し視点を変えてみましょう。

もし、この状況が冬だったとしたら、皆さんは同じように問診するでしょうか。

たとえば、「4月から症状があります」という設定で、5月のカウンセリングであれば、症状が出始めてから約1か月です。

けれども、12月のカウンセリングだとしたら、「4月から」となると8か月ほど経過しています。

そうなると、聞くことが変わってきますよね。

その間に何があったのか。
何か対策はしていたのか。
8か月も続いているのに、なぜ今このタイミングで相談に来たのか。
これまで、どのようにそのつらさと付き合ってきたのか。

季節が変わるだけで、同じ文章、同じ症状でも、問診で確認したいことや、体のサインの受け取り方が変わってきます。

カウンセリングの勉強は、終わりがありません。

同じ症例でも、季節を意識することで、見えるものが変わります。

課題にあった体のサイン

課題に出てきた内容を振り返ってみましょう。

  • やる気がある日とない日の差が大きい
  • このままで大丈夫なのか不安になる
  • 頑張り続けている
  • 便通は出たり出なかったりする
  • 睡眠にも波がある
  • 月経周期が少し変わってきている
  • 食欲にも波がある

春の養生や季節のリズムを学んだ皆さんであれば、春は揺らぎの季節であり、気候や環境の変化も大きいため、自律神経のバランスが変わりやすいことを知っていると思います。

自律神経の影響を受けやすい便通や睡眠のリズムも、変化しやすくなります。

また、東洋医学的には、春は気の流れが変わりやすい季節です。

気の流れが変わることで、月経周期にも変化が出ることがあります。

こうした知識を使うと、「春の影響もあるかもしれない」と受け取ることができます。

けれども、もしこれが春ではなかったら、どうでしょうか。

たとえば冬であれば、同じような細かな変化がいくつも出ていることを、また違う視点で受け取ることになるかもしれません。

今回の宿題

そこで、今回の宿題です。

5月に行った問診を、今の8月に行うカウンセリングだと仮定して考えてみてください。

同じ課題文を、今が8月だと想定した場合、皆さんはどのような問診をしますか。

どのようなことを聞きますか。
どのように体のサインを受け取りますか。
どのような視点でカウンセリングを組み立てますか。

次回、皆さんでシェアしましょう。

忘れないでほしいのは、正解・不正解はないということです。

「こうしなければいけない」と考えすぎず、自分の感覚で取り組んでみてください。

私は先ほど、春の場合の読み取り方の例をお話ししました。

けれども、「東洋医学の知識をもっと勉強しないとできない」と思う必要はありません。

皆さんはこれまで、自分の体を見てきましたよね。

その感覚を使ってみてください。

カウンセリングは、知識だけではありません。

今の自分が持っているものを使うことが大切です。

手持ちのカードを使う

私はこれを、「手持ちのカード」と呼んでいます。

これまで学んできたこと。
経験してきたこと。
自分の体調を観察してきたこと。
季節のリズム講座やカウンセリング講座で得た視点。

使えるものをすべて使って大丈夫です。

それは、その人らしいカウンセリングの色になります。

今ある自分の手持ちのカードで、今回の症例を読み取ってみてください。

では、次回までに考えてきてください。

 

カウンセリングに必要なスキル

この動画の文字起こしを読む

少し長くなってしまいましたが、ここからはあと少しで終わります。リラックスして聞いてください。

冒頭でもお伝えしましたが、カウンセリング力に必ずしも弁証力や経験が必要なわけではありません。

「カウンセリングをするには弁証力が必要なのではないか」
「まだカウンセリング経験が少ないのに、私にできるのだろうか」

そう思う方もいらっしゃるかもしれません。

でも、私がお伝えしているカウンセリングにおいて、一番必要なのは弁証力や経験そのものではありません。

最も大切なのは、お客様の体を観察する力です。

だからこそ、5月の課題についても、今日はあえて細かな知識を使わずに考えていただいています。

観察する力が、一番大切です。

どんなカウンセリングをしたいか

では、弁証や経験がなくてもよいのかというと、それは対象とするお客様や、どのようなカウンセリングをしたいかによって変わってきます。

自分がどのようなお客様と関わりたいのか。
どのようなカウンセリングをしたいのか。

これは、とても大切な問いです。

たとえば私は、漢方薬を処方することもあります。そのため、自分自身で弁証力を身につけています。

また単純に、私は弁証が好きです。弁証オタクと言ってもいいくらい、弁証を考えることが好きなのです。

だから学んでいます。

ぜひ皆さんも、自分に問いかけてみてください。

「カウンセリングには、必ず弁証が必要というわけではないとしたら、自分はどのようなお客様に、どのようなカウンセリングをしたいのだろうか」

弁証力は、一つの物差し

どのようなことにも、陰と陽の側面があります。

弁証力があること、経験があることが、カウンセリングの足を引っ張ってしまうこともあります。

これも、ぜひ知っておいてほしいことです。

そもそも弁証力とは、弁証論治の力です。

難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば、漢方や東洋医学の理論に沿って、体の状態を判断していくことです。

弁証力は、一つの物差しだと思ってください。

血液検査の数値を見るように、体をある角度から見るための物差しの一つです。

弁証力を持つと何ができるかというと、仮説を立てやすくなります。

仮説の幅が広がります。

つまり、問いの幅や深さが変わってきます。

たとえば、「この方は血が不足しているのかもしれない」と考えられるとします。

東洋医学の専門用語でいうなら、血虚や気血両虚などを考える場面があるかもしれません。

そうした体の仕組みや、体がどのように動くのかを知っていると、目の前に出ている体のサインに対して、

「もしかしたら、血の不足があるのかもしれない」
「血だけでなく、気の不足もあるのかもしれない」
「血が不足しているとしたら、どのような生活環境が背景にあるのだろう」

というように、予測や仮説の選択肢が増えていきます。

感覚だけではなく、さまざまな角度からお客様を見ることができるようになります。

だから、弁証を持つことはとても面白いことだと思います。

知識が生む思い込みに気づく

ただし、先ほどもお伝えしたように、弁証力にも陰と陽の側面があります。

弁証力があることによって、カウンセリングの足を引っ張ってしまうことがあるとしたら、何だと思いますか。

それは、固定観念や思い込みです。

たとえば、弁証をして「気血両虚かもしれない」と考えたとします。

すると、「きっとこうだろう」と決めつけてしまうことがあります。

知識や経験が増えるほど、良い意味でも悪い意味でも、「こうではないか」と予測できるようになります。

予測ができると、目の前のお客様をフラットに見る力が弱くなってしまうことがあります。

もちろん、経験があればあるほど必ずそうなるということではありません。

ただ、思い込みが生まれやすくなり、目の前のお客様をまっさらな状態で見ることが難しくなる場合があります。

以前、私が行っていたカウンセリング講座では、「必ず振り返りをしたほうがいい」とよくお伝えしていました。

それは、自分のカウンセリングがうまくできたか、できなかったかを評価するためではありません。

目の前のお客様をフラットに見ることができていたかを確認するためです。

立ち止まって振り返ることをしないと、知らないうちに思い込みでカウンセリングを進めてしまい、お客様自身が見えなくなってしまうことがあります。

学べば学ぶほど、経験を積めば積むほど、原点に返り、振り返ることが大切になります。

経験が少ない今は、宝物の時期

逆に言えば、弁証力に自信がない方や、カウンセリングの経験が少ない方にとって、今はとても大切な時期です。

知識や経験は、これからいくらでも積み重ねていけます。

一方で、知識や経験がまだ少ない状態は、今しかありません。

知識や経験が少ない今だからこそ、お客様をフラットに観察する目を育てることができます。

知らないからこそ、知ろうとします。

「なぜこの方は、今この生活をしているのだろう」
「なぜこの方は、夜に眠りが浅いのだろう」
「この方の体には、今どのようなことが起きているのだろう」

と、まっさらな状態で見ようとできます。

弁証を知っていると、「眠りが浅いなら、この弁証かもしれない」と、思考がすぐに知識のほうへ向かってしまうことがあります。

だからこそ、「自分は経験が少ない」「知識が足りない」と思っている今は、実は宝物のような時期です。

カウンセリングで一番大切な観察力を、今こそ磨くことができます。

これは私自身も同じです。

私はこれからも学ぶことをやめません。

でも、学び続けるということは、いつでも「まだ知らないことがある」という状態でもあります。

だから結局、ずっと観察です。

カウンセリングで一番大切なのは、目の前のお客様をフラットに見ることです。

そのために、観察する力をつけてください。

そして、自分自身の観察を通して、その力を磨いていってください。

知識を深めながら、原点を忘れない

弁証や知識を持つことで、問いの広さや深さ、仮説を立てる視野は大きく広がっていきます。

そして単純に、弁証ができると面白いです。

私は、弁証論治と処方検討が一番好きです。

今回、東洋医学をベースとして学んでいる皆さんに向けてお伝えしましたが、弁証については、興味があればいくらでも深めていけます。

興味がある方は、そのようなタイミングで学んでいただけたらと思います。

ただ、どれだけ知識を増やしても、観察するという原点は忘れないでください。

自分を題材にして、季節を感じてみること。
季節のリズムを言葉にしてみること。
自分の体にどのような変化が起きているのかを見ること。
そして、体の変化の土台にある暮らしや、生活環境を見ること。

ここについては、特別なワークは出しません。

ぜひ1年を通して、ご自身で続けてみてください。

今回の課題

課題としては、5月の課題を「8月に相談に来た」と仮定して、今の自分のスキルで考えてみてください。

大丈夫でしょうか。

全体を通して、ご質問はありますか。

わからなかったところ、聞き逃したところ、気になったところがあれば聞いてください。

今日は、いつも以上に同じことを繰り返しお話ししたかもしれません。

でもこれは、私自身が季節の養生について知識を増やし、それで一度うまくいかなかった経験があるからこそ、お伝えしていることです。

だからこそ、少し信じてやってみてください。

自分を題材にすること。
頭で理解するだけではなく、季節を体で感じてみること。
「春はこう」「夏はこう」「次はこう」といった知識を、すぐに自分の体に当てはめすぎないこと。

まずは、自分をどこまで観察できるかを大切にしてください。

その経験は、あとから必ず宝物になります。

騙されたと思って、やってみてください。

 

ご感想フォーム





    釉 漢方カウンセリング オンライン講座サポート(犬)

    タイトルとURLをコピーしました